翻訳者や専門家のためのニューラル機械翻訳の支援ツール「GreenT」をアップデートしました。
ユーザーの方々からのフィードバックに応え、私の最近の研究の成果を形にしました。ぜひお試しください。
「使い方になれるのに時間がかかる」という声を多くいただきましたので、試用期間を14日から60日に大幅に延長いたしました。この期間で、GreenTのコンセプトや使い方をご理解いただければと思います。
また、英日翻訳の翻訳文字数のカウント方法を変更し、原文1単語を2文字としてカウントするようにしました。これまでは、英単語も文字で数えておりました。
この変更により、英日翻訳できる量が2倍くらいに増えると思います。
以下、代表的な改善点を紹介します。
<目次>
性能改善
PP:ファイル統合機能の強化
複数のファイルを統合する際に、各ファイルの「ページ設定」を反映できるように改良しました。
(参考:ファイル統合機能)
GG:下線部の抽出機能を強化
GG(Glossary Generator)にて下線部の抽出機能を用いても、下線部が抽出されない場合がありました。バグを修正するとともに、下線を引いた用語をULという記号で明示するようにしました。
(参考:下線部の抽出機能)
GG:訳語の裏取り確認機能の強化
GGで取得した訳語をそのまま信用してはいけません。Google翻訳だから当然ですよね。
もともとショートカットキーを用いてGoogle検索が可能でしたが、もっと簡単に精度の高い検索ができるようにしました。
通常の翻訳と同様、裏取りをする作業の一部を自動化してみました。原語と訳語をペアでGoogle検索できるのです。Googleコマンド検索も利用して、検索するサイトを絞り込む機能もあります。
(参考:訳語の裏取り確認機能)
GG:原語と訳語のリストの幅を広げるオプションを追加
ダイアログの横幅を3段階で調整できます。一番広げると以下のようになりますので、長い専門用語も今までよりも見やすくなります。
GG:手持ちの用語集のみを使用する
手持ちの用語集に記載のある用語のみを抽出するようなオプション設定ができるようになりました。以下のようにしてください。
Google翻訳に頼らずとも、手持ちの用語集やクライアントから支給された用語集だけでGreenT用の用語集を作成できます。
PS:Power Search 機能の追加
新機能としてPower Search を開発しました。これまでのメモリ検索機能を強化しました。テキストメモリの検索ツールです。
さらに、現在作業対象のファイル内の検索もできます。[検索と置換]ダイアログボックスでは実現できない、もっと翻訳向けの検索ができますよ。
(参考:Power Search 機能の追加)
GT:意味の区切りによる翻訳機能の追加
ニューラル機械翻訳にありがちな「意味の区切りの誤解」を正す機能です。翻訳者ならではの能力をニューラル機械翻訳に反映できます。
まとめて訳したい箇所を選択するだけの簡単操作です。うまくいくと文章構造が正確に反映された使いやすい(編集しやすい)文章を出力できます。
(参考:意味の区切りによる翻訳機能)
GT:Memsource連携方法の変更
かつてのバージョンでは、Wordで翻訳をする際にMemsourceのメモリを使用できました。今回のバージョンからMemsourceのメモリを使用できなくしました。
Memsourceのメモリを使う場合には、Memsource上でGreenTを起動してください。その方が、今までの翻訳手法にGreenTを導入しやすいと思います。
メモリの代わりに、GreenTでMemsouceの用語ベースを利用できるようになりました。GreenTのダイアログに一覧表示されるジョブを選択するだけで、そのジョブで使用可能な用語ベースをGreenTの翻訳やチェックで利用できます。
(参考:Memsourceとの連携方法)
GT:用語集登録方法の強化
[GreenT]ダイアログで新しく用語登録する方法を改良しました。これまでのようにクリップボードを用いた方法以外に、選択中の原語と訳語とを登録できるようにしました。
(参考:用語集登録方法)
GT:ポストエディットの自動化機能の強化
ポストエディットの項目を編集しやすくしました。これまで、自動変換する項目が一覧表示されていませんでしたが、今回のバージョンから表示できるようにしました。
(参考:ポストエディットの自動化機能)
GT:全文翻訳機能の追加
まだβ版です。GreenTの用語集の適用やポストエディットの自動修正を用いて全文の一括翻訳をします。通常のGoogle翻訳の雑な翻訳よりはきれいに翻訳できると思いますが、まだまだの性能です。
以下のような対訳表も翻訳結果として出力します。
ご希望の方はご連絡ください。利用可能に設定いたします。
(参考:全文翻訳機能)
GT:文末表現の自動修正機能の強化
和訳時の「です・ます」と「だ・である」の表記修正機能を強化しました。また、この機能のオン・オフができるようになりました。
バグ修正
- GG:下線部の抽出の不具合を修正
- GT:文末表現の修正の不具合を修正
- GG/GT:起動時のエラーを修正