「カリスマプログラマー・アルファブロガーが教える、仕事の”本質に迫る”思考法」という帯の文句にひかれて本書を手にしました。
仕事の仕組みを作る場合の心構えの例として、プログラマーの三大美徳「怠慢」、「短気」、「傲慢」の紹介があります。(P51~P71)
これは、プログラムを書く時の心構えを上手に表していると思います。
「自分でやらない。できるかぎり自動化する」
「仕組みはつかってなんぼ」
「同じ仕事は繰り返さない」
「仕組みのメンテナンスを容易にする」
など、心にとめておくと無駄なプログラミングをしなくてもよくなるこつも書かれています。
自分が漠然とたどってきた考え方や、自分が今後成長していきたい方向性がこの本に書かれていると思います。
基本は仕事本なので、当然、プログラミング以外のことが多く書かれています。
それらの中にも、共感できるエッセンスがたくさんありました。
仕組みを上手につくると、時間が短縮できますが、著者は以下のように述べています。
重要なのは、こうして作り出した時間・余暇を、既存の仕組みを回すために使ってはいけないということです。
今までは1日がかりで1000個の製品を作っていたのが、仕組みを改良することで5分の1の時間で1000個作れるようになったとしましょう。
だからといって、ここで1日5000個作ろうとしてはいけません。
できた80%の余裕は、会社でも個人でも新しい仕組み作りに投資して、未来に備えるべきなのです。
(引用:P25~P26)
こういう考え方好きです。
この本の冒頭に書かれた上記考えを発展させたものがPart6「仕組みの未来」(P200~)に記載されていますが、仕事の枠をこえて社会のあり方みたいな視点になっていて非常に興味深いです。
今まで、Hacks系の仕事本や「仕組み」の仕事本は好きなのでいろいろと読んできました。
これらと比較すると、この小飼弾氏の本書は、具体的なテクニックというよりは思想を重視して書かれているように思います。
そういえばタイトルは「進化論」でしたね。そのとおりの内容です。
よって、抽象度が高い分、応用範囲がひろくてためになるなと思いました。
おすすめの一冊です。