【ぱらぱら】辞書(置換用の用語集)の作り方3(なぜ複数の辞書が必要?)

2011年8月19日

一括置換翻訳の支援ソフト「ぱらぱら」 には、デモ用として数種類の辞書が付属しています。

これを自分でつくる方法を少しずつご紹介します。

辞書を複数作る意味

案件によって使う辞書が変わります。
ある程度案件をこなすうちに、翻訳分野によってそれぞれ傾向が見られると思います。

ここが工夫のしどころであり、ユーザー同士で情報交換をすることで一気に効率が上がる部分でもあると思います。

それぞれの辞書には、以下のようないくつかの目的があります。これは、私が実際にやっている範囲の内容ですので、他の方は別の考え方で辞書を作られているかもしれません。

このような「翻訳をする作法の設定の自由度」が、一括置換による翻訳の醍醐味だと思います。

辞書の目的(例)

(1)お客様からの指定に対応
お客様から指定された用語を使う場合には、その辞書を優先的に置換してから、その業界で一般的に使われる用語を登録した辞書で置換をします。

(2)分野ごとに優先する語句の対応
わかりやすい例として、substrateがあります。

分野によって、様々な訳がありますね。電子機器分野でいうと回路の「基板」として用いられますが、別の分野では別の訳になります。

このような語句はありますので、担当する分野ごとに辞書を作る必要があります。

まず、分野の辞書をもちいて語句を置換してから、一般的な技術用語の辞書で置換をします。

(3)分野や顧客に依存しない用語集
申し上げ忘れましたが、想定している翻訳は産業翻訳です。

なので、英日翻訳ではJanuary、February、March は1月、2月、3月と訳せます。暦の月は一義的に決まると考えてよいと思います(睦月、如月、弥生などにしなくてもいいと思います)。

ここはそれぞれ翻訳者の方の判断で決めます。普段、ご自身で決められている訳語の選択のルールがあると思うので、それに基づいて作成していきます。

(4)書式を変更する
最近のシリーズ記事「特許明細書の段落番号の処理(ワイルドカードの活用) 」で書いてきたように、ちょっとした書式の変更にも使えます。

これも、案件に対応すればするほどパターンの数が増えて、自分のノウハウとして「検索・置換のパターン」として蓄積していくことができます。

(5)置換後の不自然な表記を直す
特許明細書の日英翻訳において一括置換をすると、以下のような置換結果に出会います。

たとえば、数値を半角にして、その後用語を置換します。すると、10and が気になりますね。

(置換前)
マウス10及びキーボード20と

(置換後)
mouse 10and keyboard 20と

このような「半角数字+and」をワイルドカードで見つけて、「半角数字+半角スペース+and」 に一括置換をします。

これも、この翻訳分野においては「半角数字+and」という用語が「記号などで使われていない」という翻訳者自身の理解があるから使える置換です。

自分の翻訳分野に対応した自分専用の辞書を作り込むことで、翻訳の効率を確実にあげていくことができると思います。

関連記事

特許明細書の段落番号の処理(ワイルドカードの活用)

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一括置換翻訳の支援ソフト「ぱらぱら」の公開

Cooperative Translation (CT) 方式による翻訳 目次

コメント

 

  • 2. Re:用語の順番ですが

    >ほにゃさん

    コメントをどうもありがとうございます。

    マニュアルでの説明不足を大変失礼しました。

    おっしゃるとおり、辞書の上から順番に置換をしていきます。

    よって、長いものから順に記載する必要があります。

    こちらの記事に具体的な並べ替え方法を記載しましたので、ご確認下さい。

    http://ameblo.jp/gidgeerock/entry-10991776591.html

  • 1. 用語の順番ですが
    現在、ぱらぱらを使用中です。
    この辞書の用語の登録順ですが、やはり長いものから先に並べた方がいいのでしょうか?辞書の変換順は、上からということでよろしいのでしょうか?

    ほにゃ

 

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