翻訳者や専門家のためのニューラル機械翻訳の支援ツール「GreenT」をアップデートしました。ユーザーのみなさまからのご要望を形にしています。
今後もプロの翻訳者の方々に使いやすいツールになるように開発を続けます。
以下、代表的な改良点を紹介します。訳文作成に関しては細かなチューニングを重ねているため、用語の適用性能も向上し処理時間も短くなるように工夫をしています。
最新版のダウンロードはこちらからどうぞ。
<目次>
性能改善
GreenT:英日翻訳での文末表現統一機能の改良
かつてのバージョンでは、文末の「だ・である」や「です・ます」の修正をしていましたが、文中の文末表現も統一できるようにしました。修正の手間が減ります。
(常体)
(敬体)
GreenT:ITマニュアルと契約書の書式に対応
ITマニュアルのスタイルガイドに対応
ITマニュアル英日翻訳でGreenTを利用する場合、半角英数字と全角文字との間に半角スペースを挿入する機能を追加しました。
条番号の処理に対応
契約書などの法務文書の英日翻訳において、Article 10などを第10条と翻訳されるような機能を追加しました。
GreenT:英訳時の文章間のスペースをゼロにする設定を追加
翻訳メモリ用のバイリンガルファイルでGreenTを使う場合など、英文の末尾に半角スペースを追加する必要がない場合があります。そのような場合に対応できるようにオプションを用意しました。
GreenT:意味の区切りによる翻訳機能の改良
前回のアップデートで追加した「意味の区切りによる翻訳機能」ですが、実行後にオフになるように修正しました。
オンのままの場合、意図せずに意味区切りの翻訳になってしまうことがあり、誤訳が増え使いづらいからです。
GreenT:ポストエディットのユーザー定義の移動機能の追加
ポストエディットのユーザー定義の管理画面にて、個別変換から自動変換へ項目を移動するための[移動]ボタンを追加しました。
個別に確認しながら変換する必要がないと判断した項目については、自動変換に移動してください。ポストエディットの項目の管理が簡単になりました。
GreenT:「みんなの自動翻訳@KI」の用語集適用機能を強化
「みんなの自動翻訳@KI」での用語適用がうまくいかないケースがあります。オプションをAからCの3種類を用意し、適用がうまくいかない場合に別のオプションを選び実行できるようにしました。
GreenT:Google検索の検索語の取得方法を改良
かつてのバージョンでは、検索対象の文字列をクリップボードに保存してから、[Alt]+[W]のショートカットキーでGoogle検索をしていました。
今回のバージョンからは、[原文]欄もしくは[訳文]欄で選択されている文字列をGoogle検索します。
GG:JAICI Science Dictionaryを利用可能
GreenTのGG(Glossary Generator)の用語集作成機能にて、化学情報協会さんが提供するJAICI Science Dictionary を利用できるようにしました。ご利用に際しては、化学情報協会さんと個別契約が必要となります。
参考:JAICI Science Dictionary の使い方
GG:QAチェックにて数字チェックを除外するオプションを追加
化学分野では言語と訳語の数字に関する表現が一致しない場合があり、QAチェックでの誤判定が多く発生します。そのため、数字チェックをしないというオプションを追加しました。
GG:複数の項目を選択可能
原語や訳語を複数選択して一気に削除する場合があります。このような場合向けに、複数の選択を可能とするオプションを追加しました。
[オプション]ボタンをクリックして設定画面を開き、実行してください。[Ctrl]キーや[Shift]キーと組み合わせて項目をクリックすると以下のように非連続の項目も選択できます。
GG:訳語がなくても保存できるように修正
Glossary Generatorで取得した言語にたいして、訳語がなくてもテキストファイルで保存できるようにしました。
GG:QAチェックの精度を向上
これまで数字チェックでの誤判定があった個所を修正しました。
GG:Google検索の検索語の取得方法を改良
かつてのバージョンでは、検索対象の文字列をクリップボードに保存してから、[Alt]+[W]のショートカットキーでGoogle検索をしていました。
今回のバージョンからは、[原語]欄もしくは[訳語]欄で選択されている文字列をGoogle検索します。
PP:英文契約書におけるローマ数字をアラビア数字に変換する機能を追加
Article IをArticle 1に変換します。法務翻訳の前処理にご利用ください。
PP:日本語の句読点の変換機能を追加
日本語の論文では、句読点が全角のピリオドやコンマになることがあります。このような場合、GreenTでは文末と認識できないため、原文で一括して通常の句読点に変換します。
PP:2列表の作成に、重複箇所に着色する機能を追加
前回のバージョンアップで追加した表の作成機能に、重複箇所の特定機能を追加しました。
文単位での重複を発見できます。2列の表を作成する際に、1回目の出現箇所に黄色、2回目以降を明るい緑の蛍光ペンで着色します。
(設定方法)
(2列の表の作成結果)
PS:文書内検索の場合、隠し文字を除外
PowerSearch機能の文書内検索をする際、隠し文字を検索対象から除外しました。
バグ修正
GreenT:ユーザー定義ファイル不在時にメッセージを表示
用語集やプリエディット、ポストエディットなどのユーザー定義ファイルがなくなった場合(ファイルの移動時など)に、メッセージで知らせるように修正しました。
これまでのバージョンではエラーが発生したことだけがメッセージで伝えられ、何のエラーなのかわからなかったと思います。今回から、必要なファイル名が表示されます。
また、対象となるファイルのパスが赤文字で表示されます。
その他の修正
- GreenT:数式エディターが含まれる文書でのバグを修正
- GreenT:「みんなの自動翻訳@KI」の認証でのバグを修正
- GG:起動時に情報が表示されないバグを修正