先日の記事の以下のコメント で、辞書に関してご質問をいただいたので説明をいたします。
1. CT翻訳
新田様
世の中にCT翻訳なるものがあると知り、興味を持っておりますが、みなさんには当然の知識なのかもしれませんが、私にはこの方式で使う「辞書」の作り方さえわかりません。
「辞書」は自分で一から一つずつ入力して作っていくものなのでしょうか?その場合、ワードなのかテキストなのか、初歩的なこともまったくわかりません。世の中にはそんなことを解説している本などは存在しますか?
あまりに初歩的な質問で大変申し訳ありませんが、ヒントを頂けると幸いです。
Y&A 2011-08-13 21:55:03
辞書に関しては、体験版のマニュアルにも細かく書かれていないので、わかりづらくて大変失礼いたしました。
「ぱらぱら」には辞書はデモ用に少ししか付属しておりませんので、ユーザーのみなさまにそれぞれご用意していただきます。
今後ブログでフォローさせていただきます。
<目次>
一括置換による翻訳について
一括置換による翻訳とは、原文中の言葉を対応する訳語で一括で置換をして、原文と訳文との言語が混在したものを並び替えて翻訳をする方法です。
日英翻訳であれば、日本語の原文中に、技術用語が英語で書かれているような状態を想像してみてください。
このような日本語と英語とが混在した文章を並び替えて英文(訳文)を作成します。
利点として、一括置換できる英単語を手入力する必要がないので、スペルミスが減ること、入力の手間が減ること、などがあげられます。
日英翻訳なら、日本語中の全角数字は、すべて半角数字に置き換えます。複雑な化学式も、全角で書かれた化合物の化学式をそのまま半角の化合物の化学式に置き換えます。
このようにすることで、入力ミスも入力の手間も減らすことができますね。
辞書の定義
以下のように、辞書を定義させていただきます。
一般的に、一括置換による翻訳で用いられる辞書には、一対一で「見出し語」と「訳語」とが登録されているとご理解ください。
たとえば、日英技術翻訳において、原文中に「システム」と書かれている時、この技術分野では「システム」が「system」と一義的に訳せる場合に、「システム」を「system」とすべて翻訳します。
この場合、「システム」が見出し語であり、「system」が訳語です。
「ぱらぱら」では、この辞書ファイルを「テキスト形式」で保存することにしています。テキスト形式のファイルというのは、.txtの拡張子がつくファイルです。
追記 16-11-08 最新版では、以下の2種類のファイルでも置換できます。 Wordファイル(.doc, .docx) Excelファイル(.xls, .xlsx)
テキスト形式で保存をすると、文字に書式(フォントの種類、大きさ、下線、太字など)の情報が含まれませんので、文字の情報だけを有するファイルができます。
辞書の例
上記の見出し語と訳語とタブで区切って記載します。
システム(タブ)system
です。
タブは、キーボードの「Q」の左側にあります。「Tab」と書かれたキーで入力できます。
空欄を入力しますね。
以下に、辞書をWindowsに付属するメモ帳で開いたものを示します。
このような感じで随時登録をしていきます。
辞書のサンプル
体験版にサンプルが付属しておりますので、ご確認ください。
デモ版のダウンロードについて
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コメント
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6. Re:体験版使ってみました
こぶさん
コメント・ご利用をどうもありがとうございます。
>これはありがたいツールですね。
どうもありがとうございます。うれしいです!
>質問ですが、英語→日本語の翻訳の場合、例えばcomputerは「コンピュータ」、computersは「コンピュータs」となるようにするには、2つの用語を登録する必要がありますか?
上記の通りで可能です。
そのほかにも、PMDICで始まる名称の辞書(部分一致で置換を実行するための辞書)を作成して、ここにcomputerを登録してもよいかもしれません。
「ぱらぱら」のうれしいところは、ユーザーのみなさまのやりやすい方法で、使い方を工夫できるということです。
上記2つの方法のいずれでもよいと思います。
「ぱらぱら」は、愚直に一括置換を実行しますので、くせ(Wordの検索・置換の仕様)をご理解いただき、ご活用ください。
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4. Re:ありがとうございます!
>Y&Aさん
コメントをありがとうございます。
>辞書はテキストで地道に作成していくのですね。
辞書の登録語句が増えれば増えるほど、手間が省けていくという仕組みなんですね。そうなんです。辞書が少しずつ完成していく喜びも感じながら案件を少しずつ仕上げていきます。
辞書の用語集めが、翻訳のスピードと品質の鍵になりますね。
>辞書ができあがっていない段階では、1単語ずつワードの一括置換で単語を置き換えていっても、時間はかかりますが、同じことができるということですよね?
おっしゃるとおりです。辞書がないと、1単語ずつをWordの一括置換になってしまいますね。
地道な作業ですが、次回以降は楽になりますので、それを楽しみにしながら登録してみてください。
このように地道に登録する方法もありますし、専門家の方々のサイトから関連する用語をいただくというのも一つの手だと思います。
以下のサイトに辞書の作り方の1例を紹介しました。ご覧ください。
http://ameblo.jp/gidgeerock/entry-10986533236.html -
1. ありがとうございます!す早速ご説明いただいて、ありがとうございます!
辞書はテキストで地道に作成していくのですね。
辞書の登録語句が増えれば増えるほど、手間が省けていくという仕組みなんですね。
辞書ができあがっていない段階では、1単語ずつワードの一括置換で単語を置き換えていっても、時間はかかりますが、同じことができるということですよね?(ごめんなさい、パソコンに疎いので、的外れだったらごめんなさい。)
翻訳の校正の仕事をしているのですが、訳抜け、訳ゆれが意外と多いので、翻訳者の方々は、一括置換などをされていないのかな?と感じています。
このCT方式が主流になったら、校正という作業すらいらなくなってしまうかもしれませんね!