特許関連の文書の翻訳に関する書籍を選ぶときの方針の紹介です。
特許実務での、特許庁からのオフィスアクション(拒絶理由通知書)の翻訳をするときに役に立つかもしれない書籍です。
翻訳全般に言えることですが、原文の意味がわからないときには訳文が作れません。
わからずに訳すと、ただ言葉を置き換えただけの文章ができあがります。
そんなわけで、特許に関する理解を助けるような書籍を紹介します。
大型書店に行けば、特許コーナーがありますので、手にとって内容を確認して購入されるのがいいかなと思います。
その時に、手に取った書籍がどのような位置づけの書籍かを意識しながら読むと、自分が求める知識が得られるのかを判断しやすいと思います。
外国の特許法よりまずは日本の特許法
翻訳者なので、おそらく外国の特許について理解する必要があると思います。
私は特許事務所に勤務していたので、実務の中で先輩に教えてもらいながら海外の特許制度を理解することができましたが、翻訳者として特許を学ぶ場合には、書籍が大きな情報源になると思います。
書籍で学ぶ場合の注意点をご紹介したいと思います。
特許事務所に入所した当時、私も米国特許法についての書籍を買って読みました。
全然わからないですよね。わからないので、さらに別の米国特許法の本を読みました。でもわかりませんでした。
挫折しますよね、普通。
わからなすぎてモチベーションが下がるし、理解できない自分を責め始めたり。
学びとして好ましくないループに入ってしまいました。
私は、最初から米国特許法の本を手にしました。
実は、ここに大きな落とし穴があると思います。
一般に、「外国の特許」関連の書籍は、「日本の特許」を知った実務者が読むことを前提にして書かれていることが多いと思います。
「日本の特許」や「特許全般」について理解をしないまま「外国の特許」に関する本を読んでも、理解がすすまないのはそれが理由だと思います。
よって、例えばアメリカの特許法・特許の仕組みを理解するためであっても、日本の特許に関する知識をまず先に学ぶことが大切だと思います。
すると、アメリカの特許法を、日本の特許法との比較で学ぶことができます。
また、日本の特許法に関する書籍はいろいろ出てますので、読みやすいものから読み始めるのがいいかなと思います。
辞書、文法書、例文集に分類する
私は、Wordマクロを学ぶときに、情報源(書籍)を辞書、文法書、例文集に分けると学びやすいと提案したことがあります。
翻訳者としてコンピューター言語を学ぶので、この分類はしっくりくるかなと思います。
特許法を学ぶときにも、何かしらの大まかな分類で分けるとわかりやすくなると思います。
特許に関する本はいろいろ出ています。例えば、特許明細書の書き方、判例集、特許法の解説書、特許翻訳、弁理士試験対策などがあります。
今回は、特許法の解説書を少し分類してみます。
手当たり次第に読んでも、外国の特許法を理解するのは難しいと思うので、何らかのヒントになればいいと思って私が購入して読んだ書籍を紹介します。
また、特許事務所に勤務した当時の私の必要性で選んでいますので、翻訳者にとっては必要以上の情報になっているかもしれませんが、それもご了承ください。
辞書的なもの:言葉の解説
私にとっては、この書籍も、実務の説明書というよりは法律用語の説明書に近いと思いました。
この書籍も用語解説だと思います。
MPEPとは、米国の特許庁の審査便覧のことです。
この審査便覧は非常に分厚いのですが、それを非常に簡潔にまとめています。
辞書的な使い方に非常に適しています。
文法書:特許とは何か?を理解するための本
日本の特許の解説本がおすすめです。以下の2冊で勉強しました。
それでも、難しかったです。
今アマゾンで調べたらいろんな本が出ていますから、やっぱり書店で手にとって確認することをおすすめします
例文集:実務での対処法
実務において、法律をどう解釈してどのように対処すればいいのかを理解する本だと思っています。
正直、辞書的な解説書だけ読んで仕事をすることは非常に難しいと思うのですが、上記の本は、上手に解説されていたと思います。
先願の未公開出願が先行技術として拒絶引例となることがありますが、この本のおかげで102条(e)項の意味が理解できました。
あと、特許事務所にいて企業の知財部的な感覚を理解するには、上記の本もお薦めだと思います。