前回のブログにて、「語学力ゼロで8ヵ国語翻訳できるナゾ どんなビジネスもこの考え方ならうまくいく」を紹介したのですが、その続きです。
- 1回目:「考え方」の本ですね。
- 2回目:翻訳に関する学び(今回)
- 3回目:「道具」について考える
- 4回目:ギター教則本との比較で読む
今回は、翻訳に関するトピックで感想を書いてみました。
<目次>
訳語探し① 事例紹介
書籍にかかれている事例は、翻訳者の方であれば納得・経験済みのこともあるかもしれません。
訳語の探し方の事例として、P.50~54に「空間格子」があげられています。
これは面白いですね。インターネットを用いた訳語探しの醍醐味が味わえます。
私はもともと「イカロス出版の特許翻訳講座」を通信講座で受講しました。(現在は講座受付終了)
そのテキストの監修をしていたのが本書の著者である水野さんです。
この講座のテキストには、訳語探しの試行錯誤の過程が事細かに記されていて、ほかに類を見ない内容でした。
残念ながら「特許翻訳講座」はもう受講することができませんので、その簡易版として、この「空間格子」の事例をお読みください。
実際に意味を理解したり、訳語を探したりすることの疑似体験ができます。
私がなんで「Google検索」をしつこくおすすめするのか、わかっていただけるかも。
訳語探し② そこまでするか?
「問題解決のための細分化」として、P.39に以下のように書かれています。
ひとつの仕事だけのために特許明細書の50や100は読まないと先に進めないことなど、日常茶飯事でした。同様に、専門書(和書と洋書)を何冊も買い込んで読むというのも、当たり前でした。
「ネイティブも納得の英文を簡単に作る方法」としてP.55に以下のようにさらりとまとめてあります。
コツは、勉強するのではなく調べて読むこと、訳すのではなくて真似をすること、ですね。
これについて、「?」の方、是非本書をお読みいただいて、ご自身で体験(実験)をしてみてください。
僕も、水野麻子さんの私塾に通っていた最初の頃は、水野さんが言っている意味がわかりませんでした。
一つの訳語のために、なぜそんなに資料を読むの?みたいに思っていましたし、関連する文献をどうやって探すのかもわからず、ストレスもたまりました。
体験してわかること① 関連文献の読み込み
当時は、水野さんから「関連分野の特許を何件読みました?」とか聞き返されると、答えをはぐらかされたように思っていましたが(笑)。
これね、実際に特許文献をいくつも読んでみて、うまくいった体験をすると自分なりに腑に落ちます。
今は、できる限り関連分野のネイティブが書いた特許を複数部分的に流し読みするようにしています。
訳したい概念が頭に入っていればいるほど、それに対応すると思われる言葉がいくつも目に入ってきます。
そこまでくれば、あとはインターネットや他の文献で裏をとればいいわけですから、自分で考えるよりもより正確な表現になっていると思います。
最初は一語(概念)を探すために関連文献をとばし読みするんですが実際には、読んだ文献は翻訳対象となる明細書の情報源になりうるわけだし、周辺の知識の補完にもなりうるのではないでしょうか。
本書のP.40の図がこの説明をしていると思います。
意識的に翻訳をこういう広い視点で眺めると、違う手法・アプローチを見いだせるかもしれません。
知らない表現を絞り出すのは頭が疲れるけど、周囲の情報を読み進めて訳語の絞り込む方法は、僕にとっては頭の疲労が少なく感じます。
また、自分が知らなかった表現に出会ったときの喜びがあるので好きですね。
他の仕事でも、実際に取り組んでいる内容を、一段階抽象化させて俯瞰できると、何かいいこと思いつけるかも。
体験してわかること② 関連図書の購入
最近は、積極的に関連図書を買うようにしています。
といっても、僕の場合はプログラミングの話をしていますが。
本を購入するって非常にコストパフォーマンスが高いと思います。
ここでのこつは、
- 必要な答えが得られたらOK(元が取れた)とすること
- 本に書いてあること全てを理解しようとしないこと
かなと思います。
インターネットだけを使って調べることに費やす時間を考えると、書籍に書かれているまとまった情報は、非常に価値が高いですよね。
最近、Macを購入して、さらにWindows 7も使い始めましたが、迷わず、複数冊のマニュアルを購入しました。
パソコンをいじることが趣味であるのならば、時間をかけながらご自身で学ぶのはいいと思います。
ただ、道具として「ある目的の作業を達成するために」パソコンを使うのであれば、やっぱり書籍の情報って役に立ちますね。
おそらく、翻訳者さんたちにとって、時間は翻訳文を作成することにかけるのがいいと思うので、調べ物をいかに手早く済ませるか、は重要なテーマではないでしょうか。
書籍購入も一つの手段ですね。
現地調達
『現地調達』という考え方を実践できると、新しい分野に比較的不安なしで入っていけるように思います。
これは、新しいこと(仕事、趣味)をするときも、新しい分野の翻訳をするときにも同じことだと思います。
P.49の「『高い語学力』という幻想」の項目に書かれています。
ましてや語彙の範囲が狭い技術翻訳では、外国語の知識など『現地調達』で十分です。
P.64の「覚える必要はない」の項目では、以下のように書かれています。
大事なのは頭に入っている単語の数でもなければ暗記した対訳文の数でもなく、必要な情報を必要なときに手に入れる力と、その情報を適切に処理する力の両方です。
事前に勉強して準備しておくことではなく、必要になったときにどう対処できるか?ということが大切なんですよね。
僕はどちらかというと、この考え方でワードプログラミングをしているので、なんとなくよくわかります。
自分がほしい結果を得られる方法を今まで探してきましたし、今後も、そうしながらプログラミングをしていくと思います。
だいたい、「配列」という言葉自体を知ったのは、最近です。
言葉を知らなくても、概念は知っていたので、自分のプログラミングで多用していましたが。
この例はあんまりいい例ではないかも(汗)。
最近は、プログラミングを体系的に勉強している最中ですのでいい学びがあったときにまた紹介しますね。
まだ、書きたいことがあるので、次回に持ち越します。