オーストラリアの旅行は、どちらかというと不安というキーワードがいつもありました。
「メールを自由にチェックできない」という不安がまずありました。
別に急ぎの仕事も何もないわけで確認する必要はなかったのですが、習慣として確認しないと不安になってしまうんですね。
これほど、メールに気持ちが依存しているとは思ってもいませんでした。
そんなわけで、喫茶店や空港にある無料のWi-FiにiPhoneを接続して、時々メールをチェックしていました。
他にも不安がありました。
現地で参加した、エアーズロックでご来光を拝むツアーでのことです。
私は、このツアーを現地で申し込んだのですが、3つの会社が提供するツアーのうちの1つを選びました。
旅行を計画した当初は、ガイドブックで紹介されていた「エアーズロック登山付きのご来光ツアー」に参加したいと思っていましたが、これには申し込みませんでした。
旅行直前にアボリジニー関連の書籍を2冊読んだら、エアーズロックという聖地に土足で入っていくことにためらいがでてきたからです。
日本でいうと、神道も何も知らない(私も正確にはほとんど知りませんが)外国人のツアー客が、神社の本殿に土足で上がり込んでいくようなものなのかな?とかイメージしたら、なんだか気が乗らなくなりまして。
で、アボリジニーの方がツアーガイドをしてくれる文化体験ツアー付きのご来光ツアーを選びました。
ツアー参加費はアボリジニーの文化支援のために使われるとのことでしたが、他と比べてちょっと高額のツアーでした。
金額を知って気持ちに迷いがでましたが、今回のツアーのテーマ を思い出して、自分がやりたいと思ったことを選択することにしました。
で、翌朝のツアーにて。
お迎えのバスが来ないんですよね。
他のツアーは5時半に迎えにきて、同じホテルの仲間が続々と現地に向かいました。
私が参加したツアーは6時に迎えに来ることになっており、そもそも迎えの時間も遅いのに、その予定時刻になってもまだ来ない。
だんだんといらいらしてくるわけです。だって、周囲がうっすらと明るくなってきていましたから。
ようやく来た小さなバスには、退職後と思われる夫婦(老夫婦)ばかりが乗っていました。
で、さらにがっかりしたわけです。
旅行で気が合う仲間と出会えるかな?と期待しつつ少人数のこのツアーを楽しみにしていたので。
5時半に出発した別のツアーは大きな観光バスに多くの若者が乗り込むのを見ていたので、余計がっかりしてしまいました。
そんなわけで、自分が選んだツアーはご来光は拝むことができそうにないし、いい友達もできそうにないし、といきなりブルーになってバスに乗り込みました。
ところが。
この不安を経験した後に、2つの思いがけないご褒美に出会ったのです。
なんと、日の出によってエアーズロックの岩肌が照らし出されるその瞬間、私たちのバスは、ちょうどその岩の目の前を走っていたのです。
ご来光・朝日によって表情を変えるエアーズロックを拝む展望台は、この巨大なエアーズロック全体を眺められるように、エアーズロックからはかなり離れた場所に作られています。
観光バスをとめる駐車場があって、観光客は駐車場付近の展望台からエアーズロックを眺めるのです。
その展望台にいくための道は、一度エアーズロックに近づいて岩の周りを半周するのですが、ちょうど私たちのバスが岸壁を目の前にしているときに夜が明け始めたのです。
鳥肌が立つような体験でした。
エアーズロックの存在感があんまり大きくて。
生命体のような感覚です。
ものすごく大きな岩ですよ。
横たわっている生命体が朝日に照らされて目を覚ますような、そんな光景を目の当たりにして、衝撃的でした。
自分が岩に対してこんなことを感じるとは思ってもいなかったので。
バスのお迎えが遅れたおかげで、こんな体験をさせてもらえました。
これが、不安の先に出会ったちょっとした神秘体験。
で、ツアー参加者とも不思議な出会いがありました。
私はこのアボリジニーの文化体験ツアー中に、あるひとりの男性とだけ話をしたんです。
そのときには、日本の震災のことを話したりしましたが、自分がどういう仕事をしているのかとか、そういうことは話をしませんでした。
相手は、メルボルンからカンファレンスでエアーズロックに来たというのです。
そのことを聞いた直後に、ツアーの説明が始まってしまい中断。
ふーん、文化人類学とか砂漠の生物の研究とかそんなことされている方かな?と勝手に想像し、もう少しそのあたりを話したいなと思っていました。
でも、ツアー中はアボリジニーの方の話(および、その通訳者の話)を一生懸命聞き入っており(かなり集中しないとよくわかないので)、メルボルンから来られたその方とはじっくりと話ができませんでした。
で、ツアーはそのまま続き、帰りのバスの中で彼と握手をしてお別れしてしまいました。
ところが、どうしてもその人が気になっており、どこかで会えるといいなと思っていたら、その日、私がレストランの窓際で昼食を食べていると窓越しに歩いているそのご夫婦を発見。
手を振ってお互いを確認して、そのまま外に飛び出しました。
もちろん、自分の名刺を手にして。
なぜだか、その人とはつながっておきたいなという感覚がありました。
で、話をしてびっくり。
彼は、オーストラリアのとある企業の知的財産部に勤務していた特許弁護士(ちなみに、私は今年の3月末まで特許事務所に、特許技術者として勤務しており、特許翻訳・中間処理の業務をしてました)。
つい最近独立して、知財コンサルとして働いているというではありませんか。
彼が参加したカンファレンスとは、おそらくこちら です。
この偶然に正直びっくりです。
私は、午後すぐに別のツアーに参加することになっていて、5分くらいしか彼と話ができませんでしたが、驚きとともにお互いの名刺を交換してその場を去りました。
そんなサープライズのご褒美でした。
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