昨日は、日本翻訳連盟(JTF)さんの第4回スタイルガイドセミナーの第2部を担当させていただきました。
お越しいただいたみなさま、どうもありがとうございました。
翻訳会社の方が多かったように思います。大量の翻訳文のチェックにはツールの導入やワイルドカードの考え方は役に立つと思います。
第1部では、翻訳者でありソフトウェア開発者である西野竜太郎さんがご本人が開発したチェックツール「JTF日本語スタイルチェッカー」の紹介と正規表現の解説をされました。
西野さんのわかりやすい正規表現の説明のおかげで、私はWordでの正規表現(ワイルドカード)を用いた検索方法について短時間で説明できました。
<目次>
完璧さを求めない。ワイルドカードを使わなくてもいい。
この手のセミナーで毎回お伝えしていますが、文法をお勉強することに時間をかけすぎるのはやめた方がいいと思っています。
ルールの暗記よりも、使ってみて効果を確認して、そこで修正をしながら使い続けるのです。
毎回、正解ばかりを追い求めたり、間違った使い方をすると怖いと思っていると先に進めません。
私がマクロや正規表現のセミナーをして出会った方々でその後、マクロや正規表現を使っている方の共通した特徴は、とにかく使ってみることから始めているということです。
雑だけど、動くものを作って、満足して、うれしくて、また次を作る
そんな非常に気持ちのいいループを回していると思います。
ワイルドカードを作るのはパズルを解くようなもので面白いのですが、それに固執する必要はありません。
ワイルドカードを作らなくても、複数の検索文字列を用意すれば同じ検索ができるのであれば、検索を複数回すればいいだけなのです。
時間をかけてワイルドカードを作っても意味がないときもありますから。
間違っていてもいいと思う。
なぜ、セミナー後に活用している人と活用していない人がいることを知っているか?というと、活用している方々からは質問や自慢のメールをよくいただくからです(笑)。また、別の機会に会ったときに、報告をいただくからです。
そういう方々が試行錯誤をされて作られたマクロには多くの工夫の跡があります。正規表現も工夫の塊です。
正確さからすると間違っている点もあったりするのですが、それは実務上問題ないと思う場合には私は特に指摘しません。完全に間違っていて、被害があると予想される場合にはもちろん指摘しますが。
例えば、ある正規表現により、数字を選択するマクロの場合、目的とする数字以外に別のタイプの数字も選択してしまうことがあります。
でも、マクロで自動処理で文字列をほかのものに置き換えるわけではなく、マーカーを付けるだけの場合には、間違ってもいいと思います。
マーカーを見て、間違いに自分で気づいて、そこで自分で修正するほうが大切だと思うからです。
活用方法は自分で決める。
今回のセミナーでは、1300以上にも及ぶチェック項目があるExcelファイルを差し上げました。
これは、標準スタイルガイド検討委員会の方々が数年かけて作られた大切なリストです。
そのままいただけて本当にありがたいことだと思います。
知恵の塊ですね。
私はこのリストを、私が使うならこうしたい、という視点でExcelファイルにまとめてみました。
また、このリストに基づいてチェックを自動的に行う「蛍光と対策」もセミナーを受講いただいた方々に差し上げました。
蛍光と対策はシェアウェアですが、今回紹介したExcelファイルのチェック機能は無料で使うことができます。
今回のセミナーで、スタイルの自動チェックや正規表現による工夫が面白いなと思われた方は、ぜひご利用下さい。
当日の第3回スタイルガイドセミナーで磯崎 博史さんが紹介されていた「助詞の『の』が3回連続しないようにする」という視点も、ワイルドカードで示せます。(記事:【Word】助詞「の」が3回連続する箇所を検索する )
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