【Word】文書内の特定の文字列を効率的に削除する方法(応用編)

2024年8月27日

[検索と置換]ダイアログボックスでの削除方法の応用

文書内の特定の文字列を効率的に削除する方法」紹介した[検索と置換]ダイアログボックスを用いた一括削除で、削除対象を別の観点で工夫してみましょう。すでに説明した通り、削除機能は強力ゆえに、削除対象を正確に指定しないと思わぬ誤操作につながってしまいます。この誤操作を減らすために、削除対象以外の要素を検索条件に追加します。削除対象の周辺情報もあわせて検索すれば、絞り込みができます。その結果、この削除の技術を実務で使える場面も増えるでしょう。

ただし、周辺情報を検索対象に加える場合に置換後の文字列を空欄にしてしまうと、検索した周辺情報まで削除されてしまいます。よって、置換後の文字列を工夫して、しかるべき文字で置き換える必要があります。以下、具体例で説明します。

実践例:「段落末尾のスペース」を削除する

では、段落の末尾にある余分なスペースを削除して、しまりのある文書を作成します。文中や段落先頭のスペースではなく、段落末尾にあるスペースだけを削除するのです。私が翻訳文書を納品する際には、クライアントからこのような指定を受けることがあります。

ところで、「段落末尾のスペース」をどのように検索したらよいのでしょうか。Wordには定番の書き方があります。「段落末尾の」を検索条件にする場合には、「段落記号の直前に書かれた」と読み替えます。ちなみに、「段落記号」は特殊文字の「^p」です。すると、上図のように「段落末尾のスペース」が全角スペースであれば、「 ^p」で検索できます。

このようにアプリケーションを操作するということは、私たちユーザーが意図していることをアプリケーションにわかる言葉で指示をしてあげるということです。ご存じの通り、Wordは、ユーザーの意図を勝手に解釈して先読みをして「余計なお世話」をすることがあります。なので、Wordがわかる言葉で正しく指示をするように意識するといいでしょう。正しく指示をしさえすれば、Wordはてきぱきと上手に仕事をこなしてくれます。

では、さっそく先ほどの条件で検索をしてみます。

どうでしょうか。検索できましたか?[あいまい検索(日)]チェックボックスはオフにしてください。これをしないと、特殊記号を使えません。検索条件で半角と全角を区別していないため、半角スペースと全角スペースが検索されました。では、なぜ上記の連続したスペースは検索できなかったのでしょうか?そうです。今回の検索ではスペースを1つしか指定していないからです。[編集記号の表示]をオンにしてスペースや段落記号などの編集記号を表示しておくと、文書で何が起きているのか目で確認できます。

実務ではこのような揺れを吸収する考え方が必要

私たちユーザーが「スペース」というときに暗に意味しているのは「全角スペース」と「半角スペース」ですね。そして、もう少し付け加えると「複数のスペース」を意味しています。なので、段落記号の直前にある複数の全角・半角スペースを検索できたらいいなと思うのです。

このブログでは何度も書いていますが、実務で扱う文書にはどのような情報が含まれているのか完全に予測することは不可能です。自分が書いた書類であっても、誤入力はよくあります。部署内でも他人が書いた文書は謎の宝庫です。ですから、できるかぎり情報の見える化が必要ですし、表記の揺れを考慮した業務の進め方を考える必要がでてきます。

今回の場合は、ちょうどよい特殊文字がありますのでこれを使います。スペースを意味する特殊文字は「^w」です。これは非常に便利で、実務で必要な概念にそのまま対応しています。この特殊文字1つで「全角と半角の複数のスペース」を意味します。下図の通り、[特殊文字]メニューからも見つけられます。さすが、Wordは考え抜かれたツール。必要な機能は備わっています。知っているか知らないかの差ですが、この差は大きいですね。

段落末尾のスペースを削除する手順

では、このスペースを削除する場合の置換後の文字列は何でしょうか。とんちクイズのようなものなのですが、「^p」です。「言われてみればその通り!」というこのような考え方は、ぜひ覚えてください。いろいろな場面で使えます。

設定条件がそろったところで、さっそく[検索と置換]ダイアログボックスを設定してみましょう。[Ctrl]+[H]のショートカットキーで[検索と置換]ダイアログボックス[置換]タブが表示されます。

置換をしても段落書式や段落スタイルを保持できる

今回の例では、段落記号を置換後の文字列に設定しています。段落記号を削除すると、段落書式が崩れることがあります。それは、段落記号に段落書式の情報が含まれているからです。今回のように置換後の文字列に段落記号を用いるので、段落記号を削除しません。その結果、置換後に段落書式や段落スタイルが崩れないのです。段落記号を扱う上での大切な概念です。

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