【Word】Wordの「マクロの記録」機能は使えるのか?

2012年4月24日

マクロの記録は使えるのか?

私のセミナーでは、マクロの記録について時間をかけて解説します。

VBAの関連書籍では、マクロの記録は中途半端なので使わない方がいいというアドバイスをたまに見かけます。

それはそのとおりで、マクロの記録を使うだけでは、ほしい物が100%得られるわけではありません。

でも、「実務者として、今目の前にある仕事の合格点を取る」ためにWordマクロを使う私たちにとっては、完璧なマクロがなくてもいいわけです。

自己責任のもと、ほしい結果を得るためにマクロを使うのですね。

機械翻訳との共通点?

「マクロの記録」機能を使うことは、機械翻訳を使う場合と似ていると思います。

プロの翻訳者の中には、「機械翻訳は使えない」と言う方がいます。

みなさんも、やっぱりそう思いますか?

これ、目的・対象・基準がはっきりしていないので、非常にあいまいな言い方ですよね。

当然、特許明細書の一番大切な契約に関連する部分(クレーム)を機械翻訳だけで翻訳して、納品することなんてできないでしょう。

でも、英語があまり得意でない方が、英語で書かれた商品マニュアルやホームページの記事を類推しながら読む場合には、機械翻訳は十分使えます。

原文が読みやすく書かれている場合や、定型句で機械的に訳しやすい場合には、納品する翻訳に機械翻訳で生成した訳文をそのまま用いることも可能なこともありますよね。

ポストエディットという考え方

プロ翻訳者の中には、機械翻訳を「文字の入力支援機能」と割り切って使う方もいらっしゃいます。

指定した用語を使って、(雑な)訳文を一瞬にして作るのが機械翻訳。

これを、人間が並び替えたり、主語を追加したりして合格レベルの訳文にするわけです。

編集することを前提として、機械翻訳を使いこなす。ポストエディット という考え方ですね。

機械翻訳は使えるか?

部分的(簡単な文章だけ)に機械翻訳を活用することはできます。

目的(内容把握だけ)によって、機械翻訳を活用することができます。

前提(ポストエディットを行う)によって、機械翻訳を活用することができます。

翻訳者の水野麻子さんは、「翻訳ソフトを見直しツールとして使う 」ということを提案されています。これは目から鱗でした。

このように、目的や対象によって、技術は使えたり使えなかったり(使えると判断したり使えないと判断したり)するわけですよね。

マクロの記録とポストエディット

そんなわけで、「マクロの記録」に戻ると、目的によってはマクロの記録は十分に使えるわけですね。

完璧なプログラムをマクロの記録で作ることは難しいです。これは、翻訳対象となる原文のすべての文章に対して、完璧な翻訳文を機械翻訳に書かせようとしているようなものです。

ポストエディットを前提として、マクロの記録を使います。

文法を理解しているからこそ、活用できる

別の言い方をすると、わからないコードを調べるためにマクロの記録を活用する、ということかもしれません。

ひとまず、どんな感じのコードが必要なのかのおおざっぱな概要(具体的には、オブジェクト、メソッド、プロパティ)を調べます。

私が4年前にマクロを学習し始めた頃は、マクロの記録を使ってとにかく自己流のマクロを作って楽しみました。

しかし、いつのころからか、コードを調べるために活用をし始めました。

私のExcel VBAの師匠の田中亨先生も、著書に、この関係が非常にわかりやすく書かれています。

まさしく、「これこれ」という感じですね。

P.21からの引用です。

マクロの記録は、実際に行った操作をVBAのコードに変換してくれる便利な機 能です。これからVBAを学習するユーザーには、VBAの世界を手軽に体感できる入門的な機能かもしれません。しかし、マクロの記録の使い方を誤解してい るユーザーが多いのも事実です。マクロ記録はマクロを「作成する」機能ではなく、わからないところを「調べる」機能です。マクロ記録だけでマクロを作成す るのは無理ながあります。また、VBAのビギナーは、マクロ記録の前にVBAの構文を学習しなければなりません。マクロ記録で記録されたVBAコードの意 味がわからないと、記録されたコードを活用することができないからです。

この文章に本当にたくさんのヒントが詰まっています。

ぜひ、マクロの記録を活用して、独学を楽しみましょう!

Wordマクロの文法を学ぶには、Wordマクロセミナー にお越しください。

文法も、VBEの使い方も、マクロの記録の使い方も凝縮してご紹介します。

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